所 信
公益社団法人黒石青年会議所
2024年度理事長 富谷 英生
黒石青年会議所が1955年に誕生してから今日までより良い地域を創ろうと弛まぬ努力をしてきた先輩諸氏に敬意を表すと共に、2024年度に理事長という職を預からせていただくことに深く感謝し一年間地域、仲間に恩返しする覚悟であります。
2020年2月より日本国内で発症が確認された新型コロナウイルスは私たちの生活様式、青年会議所運動に至るまで想像をはるかに上回る影響を与え続け根底から日常を変えてしまいましたが、ようやく以前のように戻りつつあります。新型コロナウイルスを経験した我々は今後も起こるであろう見えざる敵に立ち向かうために、あらゆる事態を想定し運動を展開していかねばなりません。
【はじめに】
入会してから様々な役職を預からせていただき、多くの方に支えられて今の自分が在ります。一人では決して成し遂げることができないことが、この組織では成し得ることができ、日常では味わうことができない貴重な機会に触れることができます。これまで関わってくださった多くの方、黒石青年会議所のメンバー、そしてこの地域に少しでも恩返しをするつもりでおります。
役職=役割と認識し、組織を下支えする心構えで、向き不向きではなく前向きに行動し、すべては自分の周りの人のために行動してまいります。メンバー、地域、家族、そして会社のために常に相手の立場になり物事を考え、相手を尊重する気持ちを忘れずに、時流を意識した柔軟な思考回路をもって、メンバーが慣例に囚われることなく、楽しさ、やりがいを感じて活動できるよう自らの役割を果たしてまいります。
【伝統文化の継承と事業の在り方】
地域の方に愛され続けてきた黒石ねぷた祭りは昨年ようやくコロナ前の通常の形で開催され大きな盛り上がりを見せました。改めて運行団体様、関係各所の皆様の協力のお陰をもって祭りを開催できるものと確信いたしました。その一方で祭りに参加する団体、参加者、囃子方のコロナ前後での減少は著しく、何十年もの間受け継がれてきた「黒石ねぷた祭り」自体の存続にも大きな影響を与えております。
人口減少が進み大幅な祭りへの参加者の増加は見込めませんが、黒石ねぷた祭り、正調黒石ねぷたばやし講習会へ参加したことのない方に対して、一歩踏み出す勇気が湧くような機会を創り出す必要があります。
以前は主催する我々青年会議所が主体となり、正調黒石ねぷたばやし講習会、黒石ねぷた祭り合同運行、灯篭作成会などを実施してまいりましたが、主催者=役割と再認識し関係団体と手を取り合い、共に事業を構築し多くの方を巻き込んで進めていく必要があります。
青年会議所における所謂「良い事業」とされるものは、事業実施後に地域の方から賞賛される事業ではありません。「とても良い事業だったね」、「また開催してね」などという評価は青年会議所に所属するメンバーにとっては「やりがい」として心に残りますが、本当の意味で「良い事業」は、「私たちがその事業を引き継ぎたい」、「私がやってみたい」と言ってくれるような事業であります。地域にインパクトを与えることができた事業であるのか、事業を実施することが目的となっていないか、改めて事業の在り方を在籍年数が短いメンバーが増えてきているからこそ考えていく必要があります。実際、2023年に実施した「黒石子ども体験EXPO」は初めて実施した事業でしたが、実施した4か月後に他団体が引き継ぐ形となりました。このような流れを既存事業に関しても考えていく必要があります。本当に必要とされていることを、必要とされているタイミングで運動を展開し地域に最大のインパクトを与えることでJC運動の最大化を目指してまいります。
【事業再考】
過去から続く誇りある事業を継続することは必要ですが、時代に即した形へと変化させ、新たな形として進化させることも必要です。そもそも事業が開始された当初の背景と、現在の時代背景は全く異なります。目的も時代に即した形で再考し、事業を辞めるのではなくより柔軟な発想をもって良い方向へ導き、事業の在り方自体を再考するタイミングが今であると感じています。他地域での事業を真似ることから始め、黒石にしかない唯一無二の形を創りながら伝統を守ってまいります。
昨年の黒石ねぷた祭りは、運行台数はコロナ前の約半数となり、祭りに先行して行った正調黒石ねぷたばやし講習会への参加者数もコロナ前に比べると非常に減少しました。伝統文化を継承するため、より若い世代の囃子方の祭りに対しての参加意識を向上させると共に、多くの市民が参加できる環境を創り出し、地域の人が地域の伝統を継承する仕組みを創る必要があります。つまりコミュニティの形成です。親子で参加、おじいちゃん、おばあちゃんと参加、あらゆる関係性で参加しやすい楽しさを求めた祭りの形を創り、自然と人が集まる祭りの在り方を再考します。
灯篭作成会に関しては既存のパートナーとより強固な関係性を創ると共に、先を見越した事業の在り方を視野に入れた運営方法を模索する必要があると考えます。継続事業を行うのが我々の使命ではなく、地域にインパクトを与える運動を展開するのが我々の使命であります。過去には小学校の統廃合により参加できなかった子どもたちもいます。その子どもたちに対して「誰一人取り残さない」観点からアクションを起こすこともまた必要であると感じております。
【組織の在り方と組織再考】
今の組織の雰囲気は非常に良く、事業や各種大会への参加率も非常に良いものとなっております。2024年度は組織創造委員会を設置し、今まで以上の魅力ある組織の在り方、自然と人が集まる組織の在り方を我々メンバーで再考し、新たな仲間を迎え入れるという意識創りから組織の在り方を再考してまいります。魅力的な組織や先進的な学びがある組織には自然と人が集まると考えております。
私は日本青年会議所へ出向した際に2度「組織改革」について学ばせていただきました。「人間味を取り戻す」、「家庭も仕事もJCも全力で取り組むことができる組織」という委員会のスローガンをもって運動を展開した中で、全国多くの青年会議所メンバーが自分たちの組織体制に疑問を持っているという事実、自分の組織が本当は好きではないという事実、組織全体として一つの目指すべき方向に向いていないと感じている事実、そして家族の反対があるため思い切って活動できないからどうにかしてほしいと感じている事実があることを学びました。学んだことを活かし、まずは青年会議所活動をメンバーがやりがいをもって出来る雰囲気作り、そして事業、定例会、委員会、理事会を心から楽しいと思える仕組みを構築し、自然と人が集まる組織を創造してまいります。
【意識の在り方と意識再考】
単年度制という様々な経験をできる組織だからこそ、一年間という短い「時間」をどのように効率よく使っていくかがこれから組織を運営していくうえで重要なポイントになることは間違いありません。
常に「相手の時間をお借りしている」という当たり前の意識を持つことが必要です。理事会、例会そしてチームビルディングも含め青年会議所に費やす「時間」に対する価値観はそれぞれ異なります。互いの価値観を理解しあい、決して強制することなく、精一杯活動できる「時間」を共に創り、さらには多くの方に共感を得てもらえるような活動をしてまいります。楽しい「時間」と感じてもらうことができれば、自然と対内事業や対外事業へと参加してくれるに違いありません。
また我々の組織の使命はメンバーへ様々な機会を提供することです。月1回の定例会において学びを提供することはもちろん、事業へ参加することで得られる学び、この組織でしか学ぶことができないものを提供することを心がけると共に、今までの当たり前を疑う意識をもって新たな取り組みにも積極的にチャレンジしてまいります。
【利他の精神を前提としたJC活動】
「時間」に対する価値観がそれぞれであるからこそ相手を思いやることが必要です。事情があり事業、諸会議、定例会等に参加が叶わない場合でも決して非難することなく、メンバーがお互いを常に思いやることができる組織を創造し、笑顔で支えあうことのできる組織を目指してまいります。
【結びに】
私自身、「JCのためのJC」ではなく、「JC活動を通じて、会社も家庭も身の回りすべてがよくなる」ように、青年会議所の本来の目的であるメンバーへ成長の機会を提供し、恩返しできるよう覚悟をもって行動してまいります。私は「向き不向きではなく、前向き」という言葉が好きです。まずは前向きに率先して行動すること、そして「利他」の精神を決して忘れることなく、自分の周りの人のために、いま在るメンバーと共に手を取り合って、謙虚な気持ちを忘れずに、そしてすべての関わる人と機会に感謝をし、地域を牽引する青年経済人として努力を惜しまず覚悟を持って、相手を思いやる気持ちを忘れず笑顔で行動し、希望溢れる未来を創造することをお約束させていただきます。