2017年度 理事長所信

公益社団法人 黒石青年会議所
2017年度理事長 蛭名 勝

はじめに

今私は、漠然と日々過ごしていた当時の自分からは、想像すらし得ない世界に立っている。
私は黒石の生まれではなくむつ市川内町の出身だ。そんな私が黒石青年会議所に入会したのは出会いと繋がりが重なったからだ。
2004年に結婚を機に黒石に移り住み、それから8年後の2012年に今の会社を立ち上げた。その時お世話になったのが、後に黒石青年会議所理事長を務められた方だった。そこで初めて青年会議所という存在を知り、何も分からないまま2014年2月に入会した。当初は知り合いもおらず、正直なところ参加するのが苦痛だったが、入ったからにはという思いでとにかく出来るだけ参加した。
事業が進み経験を重ねるにつれ仲間ができ、青年会議所とは何なのかを徐々に理解していった。わずか40人足らずが一致団結し、事業に取り組んでいく姿に魅了され、いつしか私もその一員となり誇りを持つようになった。

「経験年数わずか3年での理事長 想いだけで務まるのか・・・」
色々な迷いがある中決断したのは、仲間の一人が言った一言だった。
「みんないるから大丈夫」

黒石に移り住んで12年、私にはこの地域についての歴史、問題などまだまだ知り得ない事が沢山あるかも知れない。だがそれを知り得る仲間や先輩諸兄がいる。その人たちから学び、まだまだ成長していかなければならない。
私は人の成長とは、人に支えられ、学び、考え、行動し、そして成功や失敗を繰り返していくことだと思う。私自身も一つの出会いから青年会議所を知り、多くの仲間と出会い様々な事を学んでいる。今年度理事長を務めるにあたり、これまで以上に出会いと繋がりを大切にし、行動していきたい。

 

 

 

黒石青年会議所

1949年『明るい豊かな社会の実現』を理想とし、日本青年会議所が立ち上がった。その志を同じうする者達が各地で名乗りを上げる中、1955年8月16日黒石青年会議所として先人たちは動き出した。
『明るい豊かな社会の実現』とは何か、それは各々の価値観によって違うのかもしれない。全国各地の青年会議所がそれぞれの地域の為尽力し、活性化することで理想に近づくのだろう。ならば我々黒石青年会議所がすべき事は何なのか。この地域の為に何をするのか。偉大な先輩たちが残してきた事業を継続していくだけでは、変化し続ける時代の中で衰退していくだけではないのか。
既にある物を進化、発展させ、新たな物を創造する。容易なことではないが、今こそ『明るい豊かな街づくり』を目指す我々が、最も考え取り組んでいくべき事だと私は思う。その為にはいかに多くの意見、発想を生み出すことが出来るか、という事が重要になってくる。現在黒石青年会議所は30数名の様々な職業の人たちで構成されている。新たな人が入会すれば新たな発想が出てくる。そんな単純なことではないが、その出会いによって人は影響を受け、新たな考え方を身につけ、成長することが出来る。そして、その成長がまた新たな発想を生むきっかけとなる。つまり青年会議所はあらゆる可能性を秘めた集団であり、新しい発想を持つ人を待つのではなく、より多くの仲間に積極的に出会い、お互いを高めあっていかなければならない。
我々と想いを同じくする青年がまだまだこの街には居る。その青年たちのもとへ愚直に足を運び、想いを伝え、入会していただく事で新たな繋がりが生まれる。私は入会の理由ではなく、入会してからが重要だと考えている。実際に私もそうだが入会当初は「ボランティアの集団」、「少しでも仲間が出来れば」という安易な気持ちで参加していた。少しでも参加してもらえるように呼びかけていけば、毎月行われる定例会や、事業を通して気付きがあると確信している。
『明るい豊かな街づくり』を実現する為、今まで以上に出会いを大切にし、より多くの仲間で協議、決断し、一丸となって行動することが、我々黒石青年会議所の務めではないか。

 

 

 

伝統文化継承

昭和30年から、我々黒石青年会議所が合同運行の主催を務めて来たねぷた祭り。昨年の出陣台数は56台となった。
黒石ねぷた祭りは3世代交流のコミュニティー形成の場であり、黒石の歴史と伝統を語る上でかかせない事業だ。しかし、かつては80台あまりを誇っていた黒石ねぷたも年々参加団体が減少している。社会的にも人口減少が問題になっているが、その一言で片付ける訳にはいかない。60年を超える永きに渡り、地域の人たちと共に様々な変化や困難を乗り越え、先輩たちが受け継いできた伝統を我々は守っていかなければならない。
黒石でなければ見る事が出来ない「ねぷた祭り」。扇と人形が共存しての運行、人形ねぷたの五段高欄、そして見送り絵の美人画。その全てを余すところなく発信し、より多くの人に感動を与え、未来へと繋いでいく。更には昨年の『黒石ねぷた祭り』において、人形ねぷたの参加台数が5台に減少したが、これ以上人形ねぷたを減らさない為に取り組んでいくことが、最も優先されることの一つだと考える。その為には、ねぷた運行における援助として、行政に働きかけていかなければならない。そして何より、人手不足から参加を断念している団体が少なくないことだ。まずは近隣の町内同士が協力し、合同でねぷた祭りに参加してもらうといった働きかけも必要だと思う。それが更なる地域の繋がりを生み、明るい未来に繋がるのではないか。

「ヤーレヤーレヤ」の掛け声と共に響き渡る黒石独自のねぷたばやしは、「すすめ・とまれ・もどり」から構成され、「青森県無形民俗文化財」に共に指定される黒石ねぷた祭りの一翼を担う。
昭和43年から正調黒石ねぷたばやしとして、黒石独自のはやしを後世に受け継いでいく事を目的に行われるようになった『正調黒石ねぷたばやし講習会」は、多くの子ども達が参加し青少年健全育成にも寄与している。
近年では子供の参加者の減少に悩まされるが、その代わりに大人の参加が目立ってきている。子供の参加者減少はもちろん問題視する所だが、受講生が幅広い年代に移行してきているのは伝統継承においてよい傾向だと思う。昔は大人も子供も大勢参加していたのではないか、勿論親子で参加するのも当たり前だったのではないか。やはりあくまで人を呼ぶのは人であり、ならばより幅広い年代の参加を推進していくべきだと思う。
祭りにおいて独自のはやしを演奏するのは、その地域らしさを現しているのではないか。その演奏を聴くだけで「黒石だ!青森だ!」とすぐにわかる人がいる様に、「正調黒石ねぷたばやし」は黒石でなければ聞くことが出来ないからこそ、より多くの人が集まるのではないか。

誰しも失いたくないもの、失ってはならないものがある。家族や友人、夢や目的など人それぞれだが、この地域にとってねぷた祭りがその一つだと私は思う。ねぷた祭りによってそこに参加する新たな人に出会い、そこから人と人との繋がりが生まれ、また新たな人に伝統が繋がれる。こうした当たり前の事が簡単にいかない現代で、黒石らしさを失うことなく、いかにしてこの貴重なコミュニティー形成の場を守っていくのかを、考えていかなければならない。

 

 

 

夢・地域創造

ほとんどの家庭が共働きの現代、家族が揃って食卓を囲み、学校であった事やその日あった他愛もない出来事を話すといった、昔は当たり前だった事が今はままならなくなっているのではないだろうか。
子ども達が夢を描き、親子が共同で灯篭を作成しながら、将来の夢を共有することを目的とする『灯篭作成会』。わずかな時間だが、そんな機会がある事を喜ぶ声が年々増えているのを感じる。私自身学校の行事や試合など、出来る限り参加して家族で過ごす時間を大事にしているが、そのような場が少しでもある事が喜ばれているのではないだろうか。この地域に住み暮らす親子のきずなを深める貴重な時間として、我々はこの事業を継続していかなければならない。
『重要伝統的建造物群保存地区』に指定されている、古き良き時代を映すこみせ通りが、今を生きる子ども達の、夢灯篭で彩られる風景は何ものにも変え難い。変わる事の無い風景と、時代と共に変わり行く現代の子ども達の夢が融合した姿は、黒石の夏になくてはならないと強く思う。

子ども達の夢を応援したい、地域を元気にしたい、という強い想いで始められた『ふるさと元気まつり』。河川敷で行われるステージアトラクションは、子ども達の夢を応援するという想いを込め、様々な催し物が行われる。そして子ども達の夢を描いた紙灯篭を浅瀬石川に流し、その夢が叶うようにと花火に乗せて夜空へ打ち上げる。『ふるさと元気まつり』も、昨年節目となる10回の開催を迎え、今では地域の人々に「ふる元」と親しまれるようになった。当たり前になりつつあるこの事業も、11回目となる今年度しっかりと検証し、更なる継続に向け発展させていきたい。
私はこの『ふるさと元気まつり』の花火は、地域の人たちの繋がりの結晶だと捉えている。子ども達の為、そしてふるさとを元気にする為にという我々の考えに、地域の方々の理解と協力があることで成り立っている。これもまた人と人との想いが繋がっているからだと確信している。

夢とは「こうなりたい、こうありたい」という願いや想いである。子供の頃、ことある毎に夢を聞かれた記憶がある。それは夢に向かい目標を立て、行動することの大切さを知って貰う為だと思う。『灯篭作成会』然り、『ふるさと元気まつり』も根底は同じである。『灯篭作成会』そして『ふるさと元気まつり』を通じて、将来の夢を持つことの大切さを感じて頂き、家族と過ごし、ふれあいながら、愛郷心を育む機会になると信じ取り組んでいく。

 

 

 

おわりに

私は日頃生活する上で繋がりというものを意識している。繋がりといっても様々で、例えばスポーツ観戦においては、同じ日本だから日本を応援するとか、地元の出身だから応援するといった、お互いを「知っている」「知らない」に関わらず、普段当たり前のように行われていることではないだろうか。誰しも自分に近い存在であればあるほど、その繋がりを大事にしているだろう。
よく「自分たちは自分たち」「あそことは違うから」、というようなことも耳にするが、果たして全てがそうだろうか。確かに譲ってはいけない場面や状況もあると思う。しかし、現代はいい物や新しいものを取り入れ、又は参考にし、独自のものを作り上げ発展してきたのではないか。『明るい豊かな街づくり』を目指す我々にとって大事なのは、それが本当に必要か、そして可能なのか、更にはそれを行動に移すべきなのか、その判断を間違えない事である。その為にはこれまで以上に出会いと繋がりを大切にし、新たな発想に耳を傾けていかなければならない。

私は今仲間の支えによって立っている。飛び抜けた能力があるわけでもなく、経験も少ない。そんな私が理事長を務められるのは、仲間が支えてくれるからだ。少しでも早く、支えてくれるみんなの思いに報いる為、私自身が判断力や決断力、そして行動力を身につけるべく努力し、更には少なからず私との出会いが、周りの成長のきっかけとなっている事を願い、邁進していく。

私に多くのものを与えてくれた、黒石での出会いと繋がりに感謝を忘れず、活動していきたい。